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さえぐさはなえが語る『あした、どこかで。2』その3

こんにちは、さえぐさはなえです。

今回も『あした、どこかで。2』について、作家目線の解説にお付き合いください。

さて、突然夏の熱い日差しに照らされてしまい、思わず水に飛び込むスズメ。しかし水は泥水だったので汚れてしまいました。
それを見ていた他のスズメに思いっきり笑われてしまいます。
それでも汚れたスズメは「恥ずかしい」と萎縮せずに、シャワーをあびてスッキリいい笑顔です。
小馬鹿にされたことすら楽しさにかえて、「エヘッ、きもちいいや」と笑うことができました。

でもすぐに風が吹いてきて、怪しい気配。あっという間に雨です。
環境がすぐに変わってしまい、スズメはちょっぴり不安になってしまいます。

けれどこの秋の雨が過ぎると、待っていたのは実りの世界でした。

「やぁ、よく来たね。キミを待ってたんだよ」

これは私がどうしても入れたかった言葉です。
誰でもなく、“キミ”(あなた)である必要がありました。

私はこの作品を作った頃ちょうど、大人だって「褒められたい」のではないかという考えに至っていました。
子供はいいことをしたら褒めてもらえますが、歳を重ねた人ほど褒めてもらう機会がなかなかありません。

子供の頃には褒めてもらえたことが、だんだんと大人になるにつれ
「あれをして当然」、「これをして当たり前」になっていくからです。

だけど本当は「当たり前」って全然ラクじゃないんですよね。大なり小なり誰かが何かをがんばって「当たり前」を作ってる。
花はがんばって咲いてる。いつも綺麗な公園は、誰かが綺麗にしてるから綺麗。
いつもパリッときれいな服を着られるのは、自分や誰かがきちんと洗濯しているから。
だから母親でも、出会った人でも、私はなるべく「褒める」ように心がけていました。病気と闘うことだってあるし、家事を支えるのだって、家族のために働くのだって、がんばった分、労われたらそれだけで心が救われることってありますよね。

すると『あした、どこかで。2』で読者様から
「今誰かに言って欲しいと思う言葉が、必ずどこかのページに見つかりますよ。」
というレビューを頂戴することができました。
書いてくださった方の欲しかった言葉がこのシーンであったかどうかまではわかりませんが、伝えたかったことがしっかり届いたと思い、とても嬉しくなりました。

つづく

泥んこになった姿を見られ、思いっきり笑われてしまうシーン。

スッキリした顔で笑うスズメ。少し心がたくましくなっています。

目まぐるしい環境の変化に、ちょっぴり不安になっています。